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HOME  >  アクティブワールド  >  海外ボランティアとなる  >  ウズベキスタン国家建設アカデミーの卒業式

海外ボランティアとなる

ウズベキスタン国家建設アカデミーの卒業式

2003年3月17日

先般、私の教えている国家社会建設アカデミーのHigher Business School(経営大学院)で卒業式がありました。
初めての卒業生を出すということもあり、またこの国の絶対的権力者である大統領の直轄機関であることもあり、卒業式にはテレビ局のカメラが数台入り、式の後の宴会もウズベクの伝統音楽バンドの演奏、国民詩人であるアリシェルナボイの詩の朗読、民族ダンスのパフォーマンスもあり華やかでした。
通常の宴会には付き物のアルコール(ウォッカ)はまったく出ませんでしたので、やはり、イスラムの国の公式行事にはアルコールはご法度なのかと思っていたら、隣に座っている紳士のテーブルの下にウォッカのビンがそっと置いてあるのが目に入りました。やがて彼はそれをお茶の急須に入れ湯のみ茶碗に注いでいたずらっぽい目で私に勧めてきました。
何か、アメリカの禁酒法時代に流行ったというクラブ(シカゴのガスライトクラブ―違法の酒を飲ませるクラブで、グラスではなく、コーヒーカップにウィスキーをついで出す)を思い起こさせられました。何処でも人の考えることは同じのようです。

ところで、このビジネススクールは一昨年の秋に開校し全日制(フルタイム)は14ヶ月のカリキュラムで成績優秀者には本校の提携先である米国、モンタナ大学での短期研修派遣用意されています。
学生は、すでに相当の実務経験を持つ社会人で平均年齢34歳、マネージャークラスが多いようです。授業料が極めて高いためほとんどの学生が企業、官庁からの派遣生です。ウズベキスタンは市場経済への移行を国家の目標に掲げており、この経営大学院はその目的に沿って設立されたものです。学生数は、フルタイム生で一学年20名強、短期集中コース生で約50名程度。 カリキュラムはモンタナ大学経営大学院の指導の下に作られたこともあり、よく整っています。

形式的に経営大学院を作ることはそう難しいことではないかもしれませんが、(勿論、校舎、設備を用意し、カリキュラムを作り、学生を募集するなど大変なことは大変ですが)問題は教育の中身です。
当国に経営大学院で教えられることの出来るほどビジネス実務経験を持つ教師はほとんどいません。これはきわめて当然で、私企業の歴史がいまだ10年程度なのですからやむを得ない所です。
ここで約半年間学生を教えてきたわけですが、いろいろな問題点が見つかってきました。なんでも一応形式は整えるが実体は伴わないというのがこの国(おそらく途上国全般もそうではないか)の実情で、この大学院も政府トップの指示で設立され立派な建物、そこそこの設備(たとえばコンピュータールーム)が整っています。
しかし、教師陣については、専任講師は2つある学部(経営学部と金融学部)の学部長2名のみ、後は、パートタイムの先生方です。
海外から招聘した講師の方も居られますが、期間は短期のようです。パートタイムの先生方も中央銀行、経済官庁の現役が中心のようで講師確保に苦労しているのが実情です。

従って、カリキュラム内容も何を教えるかでは無く何が教えられるかをベースとなっているような気がします。教える中身はあまり問わない、とにかくやってくれれば良い、つまり形式的に授業がとりおこなえていればよいという事で現実は進められているようです。
この国の他の大学の授業もまったく同じですが、授業は講師が講義をおこない学生はそれをじっと聴いてノートをとるというのが基本パターンで、セミナー(演習)の時間もカリキュラム上ではかなりあることになっているのですが実際はそう見かけません。
アメリカのビジネススクールは、学生に対しかなり大変なスケジュール(宿題、レポート、クイズなど)を課していますが、当地では取らなければならない科目数は多いものの、単に講義を聞いて終わりというケースがほとんどのように思われます。

もっと具体的に言うと、教科書がほとんどないこともあり(図書館はありますが、その内容はきわめて貧弱)予習をする、自分で実務作業(簿記会計、計算問題、コンピューター操作など)をやってみるということがほとんどない、きわめて受動的な勉強に留まっているようです。
事実、金融会計コースのテストで、計算問題、演習問題を出すとほとんどが50点以下という結果です。(学生たちは、実務経験を持つマネージャークラスの人たち)でも、授業中は結構質問もするし、まあまあ分かっているのかなと思っていたのですが左にあらず。
どうも、授業は聞くもの、だから聞いて面白くない授業はダメな授業という捉え方で、授業が良く理解できない、面白くない部分に入ると(たとえば、財務比率の計算など)途端に教室がざわざわし始めるというのがこれまでの経験です。

議論が飛躍するようですが、どうもこの国は、実学というものを重視していない、というよりは、実学の重要性を理解していないのではと考えざるを得ません。
経済分野でも、マクロ(全般)の話はそこそこできるとしても、ミクロ(個別具体的)の話――具体的な問題の解決方法(問題の所在の発見、対応策の比較検討、問題解決手順など)になると途端にレベルが落ちてしまう。このようなことは、学生に限ったことではなく政府の役人を含め一般的に言えるのではないかと思われます。ビジネスとはきわめて具体的なものですから、市場経済――私企業中心の経済――への移行を真剣考えているのであれば、実務能力につながる実学の重視が必要欠くべからざることだと思われます。
言い換えれば、従来の計画経済下では重要視されてこなかった個別具体論的視点こそが、今、この国にとって必要なのではと考えます。

この経営大学院もおそらくこういう認識を背景として設立されたのではないかと想像しますが、形式を整えることは出来ても、実態をそれにあわせるのに成功しているとはとても思えません。
私の役割も、どうやってこの大学院に実学を持ち込むかにあると思っています。この大学院を中心にして、企業経営センターを作る計画があるようで協力を依頼されています。(これに関する大統領令が発表された由)
しかし、またまた、センターという箱物だけが出来て中身はほとんどなしということに成るのではないかと心配しています。しかし、企業経営の実際、実務を普及するために,企業経営センターを立ち上げることは、この国にとりまさしく重要であり、形式的なものでない、実際役に立つセンターが出来るように願うばかりです。

加藤倭朗

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